Undertaleをクリアした感想 |
・Undertaleとは
最大の特徴として“The FRIENDLY RPG WHERE NOBADY TO DIE"というキャッチフレーズの、敵を倒すことを目的としていないRPGであることです。制作チームの中心人物であるToby fox氏は過去にMOTHERのファンゲーム作成に関わっており、本作にも影響を受けている部分がかなり多くあります。
・難易度とか
RPGによくある迷路要素はまったくなく、通路分岐も殆ど無いです。またボス戦のSTGにおいてもいわゆる「ひっかけ」「いやらしい」系の攻撃は一切なく、自分の直感に従って攻略していけばいいという初見でもまっすぐエンディングに向けて進めていけるゲームになっています。回復アイテムも充実しており、奇数弾、偶数弾などといった基本的な攻略概念を知っていれば2日もあれば一通りクリア可能だと思います。難易度が高くないといっても、決してやりこみがいがないわけではなくボスを攻略したときは確かな達成感を得ることが出来ます。
・何が凄いのか
このゲームはメタ要素を多めに盛り込んだゲームになっています。一般的にメタ要素のある作品というと、基本や定石を無視して(ろくに基本を抑えずに)変化球を狙ってたり、作者がドヤってるのをイメージさせたりと何かとネガティブなイメージが高いです。ところが、この作品はゲームの基本を抑え過去の作品へのリスペクトもいたるところに見せながら変化球を投げていて且つ、変化球を投げたことによって歪んだ部分をしっかりストーリー的に補正・補強したり、思い切ってシステムとして収めたりすることで矛盾のない完成度の高いゲーム性になっています
雑魚敵から主人公、ラスボスに至る、一人ひとり全てのキャラクターに対して「人となり」が練り込まれています。それは、キャラの生い立ちだったり、哲学だったり、主人公に対する接し方だったりとで、それぞれがその設定に沿って強い決意のもと行動しています。これによって、一般的なRPGと違い「無限に湧いてくる雑魚」「倒せば終わりのボス」という印象を持つことができません。敵を殺す生かす、ということに明確な意味をもたせようとする作者の熱意を感じることができます。そういった熱意の結果、登場キャラは何らかの選択肢やタイミングがひとつ違うだけで異なる発言をするので異常に膨大な量のセリフテキストが用意されています。そういったものを読んでキャラを理解していくことも楽しみのひとつになります。
その膨大なセリフテキストに加え、オブジェクトを調べることで読める一見無意味そうなテキストにも、隠されたストーリーや作者が込めたテーマを読むヒントになっています。また、こういったヒントの中にひとつふたつプレイヤーにミスを誘わせる罠がいくつか仕組まれています。この罠に嵌まるとゲームそのものに大きな意味が発生し、クリア後に「あの罠は作者がゲームの隠れたテーマを表現するためのものだったんだ」と気がつくことができます。実は公式プロモーション動画の中にも“罠”が設置されています。
・まとめ
Undertaleは、作者がドヤ顔をしなが変化球を放り投げただけのゲームではないことは強く保証します。それを理解したうえで、作者がこのゲームを通してプレイヤーに問いかけたいことを探ってみて欲しいです。これは動画を見ただけでは決して感じることが出来ないので、実際に自分でプレイし、決定ボタンを入力しながら行って欲しいです。実際レビューの中には、表面をさらっただけでゲームを感じたせいで従来のよくある浅いメタ系作品と同じと結論付けてしまうものがいくつかあり、それは非常に残念なことです。このゲームは難易度も高くなく隠されたテーマを探索し続けるのに十分な楽しさが散りばめられています。全てをクリアした後に、考察サイトなどを読むのもとても楽しいです。たった980円ですので非常にオススメです。